1974年版を考察

◆1974年のカード構成
 発売されたカードは、通し番号№1から504まで。しかし、リストによると、№289から324までは欠番となっているため、468枚が発行されたことになる。
 各チームのカード化された選手数を調査した結果、以下のようになった。73年と同様、巨人が断トツの1位、続いて中日、阪神とセ・リーグのチームが続く。
 パ・リーグ選手のカード発行枚数は、非常に少なく、しかも、ロッテが優勝したこともあり、日本シリーズカードとかの企画もなかった。
 トップは、太平洋、次いで、南海、阪急が続く。
 セ・パの比は? というと、セが80%、パが20%となった。
 1番のお気に入りカードは、ヤクルト・荒川のカード。

◆球団別選手数調査
 ①巨人  (197枚)42.1%  ①太平洋 ( 26枚)05.6%
 ②中日  ( 50枚)10.7%  ②南海  ( 24枚)05.1%
 ③阪神  ( 43枚)09.2%  ③阪急  ( 23枚)04.9%
 ④広島  ( 28枚)06.0%  ④日ハム ( 10枚)02.1%
 ⑤大洋  ( 24枚)05.1%  ⑤近鉄  ( 10枚)02.1%
 ⑥ヤクルト( 20枚)04.3%  ○混合  ( 13枚)02.8%

 円グラフ1「球団別選手数調査」

 混合とあるのは、73年と同様、1枚のカードに複数チームの選手が写っているもの。
 ただし、同一チームの選手のみで構成されているものについては、そのチームの中に含めた。
 円グラフ2「セ・パ・リーグ別調査」

◆1974年のカードは?
 冒頭の説明通り、1974年のカードは、№1から504までとなっている。
 表面の文字は、№1から72までは「1974年度ペナントレース」、№73から324までは「選手名(球団名)」、№325から396までは「熱戦シリーズ 選手名(球団名)」、№397から432までは「ONシリーズ 選手名(球団名)」、№433から504までは「名場面シリーズ 選手名(球団名)」となっている。

左から(部分拡大)
№1 王貞治(巨人)      
№89 井上弘明(中日)
№394 高井保弘(阪急)


左から(部分拡大)
№402 長島茂雄(巨人)
№498 富田勝(巨人)

 また、カードの裏面の上部に記載された文字は、№1から432までは、「プロ野球カード・1974年度版」と記載されており、№433から504までは、「プロ野球カード・名場面シリーズ」と記載されている。ただし、№31の江夏豊のカードだけは、「1974年度・プロ野球カード」と、若干異なっているのが不思議である。

左から
№1 王貞治(巨人) (裏面)   
№480 王貞治、長島茂雄(巨人) (裏面) 
№31 江夏豊(巨人) (裏面)


左から(部分拡大)
№1 王貞治(巨人) (裏面)   
№480 王貞治、長島茂雄(巨人) (裏面) 
№31 江夏豊(阪神) (裏面)

◆発行時期の違いによる分類
 大きく分けて9つに分類されるのではないだろうか。順に紹介していこう。

①№1~72
 11球団で構成されているが、巨人がダントツに多く、阪神、南海と続く。裏面には、「野球博物館」というコーナーがあり、野球用語や記録のことについて書かれている。ただし、全てではなく、「野球博物館」のないカードもある。
 
左から
№19 土井正三(巨人)            №19(裏面)
№61 福本豊(阪急)

②№73~90
 中日の選手のみで構成されたシリーズであるが、名古屋でしか発売されなかったというわけではないらしい。また、①に引き続き、「野球博物館」のコーナーが登場する。
 
左から
№78 島谷、高木、星野、谷沢(中日)        №78(裏面)
№90 ウイリアム(中日)

③№91~126
 阪神、南海、阪急、近鉄の関西にある4球団のみで構成されたシリーズ。「野球博物館」のコーナーは、このシリーズも継続されている。通算350勝を記録している米田哲也(阪急)は、このシリーズで発行されたカードがファーストカードかつ唯一のカードである。
 
左から
№110 米田哲也(阪急)           №110(裏面)
№121 江本孟紀(南海)

④№127~144
 太平洋の選手のみで構成されたシリーズ。このシリーズは、地方版で、西日本限定で発売されたカードである。「野球博物館」のコーナーは、このシリーズも継続されている。
 
左から
№131 ビュフォード(太平洋)        №142(裏面)
№142 田中章(太平洋)

⑤№145~216
 太平洋を除く10球団の選手で構成されているシリーズである。ヤクルトでは、東条、船田、武上とファーストカードが続いた。
 
左から
№176 松岡弘(ヤクルト)          №176(裏面)
№211 張本勲(日ハム)

⑥217~288
 11球団で構成されているが、偏りが大きく、巨人がダントツの枚数、広島、太平洋は2枚ずつしかカードになっていない。
 写真で紹介している長島茂雄のカードの裏面には、住所が記載されている。これを見て、ファンレターを送った人が多くいたに違いない。
 
左から
№227 長島茂雄(巨人)           №288(裏面)
№288 加藤初(太平洋)

・№289から324は、欠番

⑦№325から396
 このシリーズは「熱戦シリーズ」となっている。中日対巨人(中日球場)、中日対阪神(中日球場)、阪神対巨人(甲子園球場)、大洋対巨人(川崎球場)、巨人対中日(後楽園球場)、南海対太平洋(大阪球場)、日本ハム対阪急(神宮球場)、阪急対南海(西宮球場)の試合の模様を紹介している。この他にも、王、長島のカードがそれぞれ数枚ある。「野球博物館」のコーナーは、このシリーズ以降登場しない。
 
左から
№338 関本四十四(巨人)          №394 (裏面)
№394 高井保弘(阪急)

⑧№397から432
 「ONシリーズ」となっている。ご存知のとおり、1974年10月14日に長島茂雄は引退したが、その日の試合の模様を紹介したカードが多数含まれている。
 
左から
№417 長島茂雄(巨人)           №417 (裏面)
№420 王貞治(巨人)

⑨№433から504
 このシリーズは「名場面シリーズ」である。といっても、王、長島のカードが多い。また、セピア色のカードが数枚登場している。それから、特記事項として、長島茂雄の紹介が、前シリーズまでは表面の文字が、「長島三塁手」だったのに対し、「長島監督」となっている点である。
 
左から
№449 長島茂雄(巨人)           №503(裏面)
№503 長島茂雄(巨人)         

番外篇
 ⑨シリーズには、セピア色のカードが登場しているので、ここで紹介しておこう。左のカードは、長島選手が本塁打を放ち、川上サードコーチに祝福され三塁を回る場面。右は通称、「寝タバコ」。今ではこのような写真は使用されないね。ましてや、子供向けのカードに……。
 
左から
№467 長島茂雄(巨人)              №480(裏面)
№480 長島茂雄(巨人)          

◆黒文字版、白文字版
 一部カードには、表面の文字が黒文字と白文字が存在する。
(434 441 443 463 475 478 483 486 495 500 503 504)

左から
№483 長島茂雄(巨人) 表面黒文字版
№483 長島茂雄(巨人) 表面白文字版

◆その他
 自分が気に入っているカードを2枚紹介する。

左から
№47 荒川堯(ヤクルト) 鳴り物入りで入団も、「荒川事件」の影響でプロ生活は5年と短かった。
№186 C・ボイヤー(大洋) 日本球界には4年間在籍。引退後はコーチとして大洋に残り、田代、山下らを育てた。

◆1974年シーズンを振り返って
 セ・リーグでは、巨人が敗れ、中日が優勝。この年で、長島茂雄が現役を引退。監督として75年シーズンを迎えることが決まった。
 パ・リーグでは、金田監督率いるロッテが優勝。2リーグ分裂後、1950年の毎日オリオンズ以来、2度目の日本一となった。

左から
№161 関本四十四(巨人)  この年、最優秀防御率投手
№354 王貞治(巨人)   この年、三冠王

◆収集状況
 本年のカードは、全て所持している(異種等は除く)。一番最後に入手したのは、№127のハワード(太平洋)。
 一部カードに、黒文字版と白文字版が存在しているので、今後はそれらを集めたい(2020年3月1日現在、判明分は全て所持を確認)。
 73年のように、印刷の濃淡を把握しているものが十数枚あるが、それらは、カード研究家に任せることにする。

№127 ハワード(太平洋)

◆その他のトピックス
 1974年重複枚数整理
 1974年ファーストカードを追え
 1974年の景品
 1974年の地方版とは?
 1974年のコアなページ
 1974年登場選手名鑑

 カルビープロ野球チップスカード大好き

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